インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  取材レポート  >  吉村芳生 超絶技巧を超えて

吉村芳生 超絶技巧を超えて

■遅咲きの現代美術家
【会期終了】 リアルな表現と、独特の制作方法。吉村芳生(1950-2013)は2007年に森美術館で行われた「六本木クロッシング」展で、57歳にして一躍注目を集めるようになった現代美術家です。光が当たり始めた矢先の2013年に死去した吉村の大回顧展が、東京ステーションギャラリーで開催中です。
日本の現代アートシーンの中でも異色の存在といえる吉村芳生。本展は、中国・四国以外の美術館では初めて開催される個展です。

吉村は山口県防府市生まれ。広告デザイナーとして働いた後、勤めを辞めて版画を学び、美術家の道へ進みます。

会場冒頭には、全長17メートルに及ぶ金網のドローイング。初個展の作品です。見慣れたモチーフを忠実に写し取る行為は、吉村が生涯を通じて取り組む事となります。

吉村は、その制作手法も独特です。《ジーンズ》は、撮影したジーンズを拡大し、マス目を引いて濃淡別に0~9に分け、「2なら斜線3本」というルールに則って、黙々とマス目を埋めて描きました。

感情を完全に排除し、機械的に制作を進める事を、「機械文明が人間から奪ってしまった感覚を再び自らの手に取り戻す作業」と語っています。



下のフロアに下りると、イメージは一変。コスモス、バラ、ケシ、フジなど、色鉛筆で花を鮮やかに描いた作品が並びます。

1985年に郷里の山口に移住して以降、モノクロ表現に息詰まった吉村。新たな題材になったのが花で、120色の色鉛筆を駆使して、精緻な花を描きました。ただ、花の作品も、マス目ごとに写真から拡大・転写する手法を取っています。

菜の花を描いた《未知なる世界からの視点》は、全長10m22cmの大作。川面に写る花を描いた上で、上下をさかさまにして完成としました。

会場最後が「自画像の森」。吉村にとって自画像はライフワークともいえる画題で、図録では「世界で最もたくさん自画像を描いた画家」と紹介されています。

《新聞と自画像》シリーズは2パターンあり、大きな作品は約2.7倍に拡大された新聞そのもの(文字・写真・広告など)も手描き。もうひとつは既存の新聞の上に自画像を描くパターンです。

2009年の元旦から1年間は、新聞(全国紙・地方紙・英字新聞など)を近所のコンビニで毎日購入。364枚で1セットの作品です(1月2日は新聞休刊日)。自画像はカメラで顔を撮影して描き写しています。表情は新聞の内容と連動しており、時おり表情が緩んでいる時もあります。

一転して硬い表情は、1年間のパリ滞在中に描かれた、2011年12月からの自画像。ホームシックで部屋に閉じこもることが多かったそうで、心境が伺えます。こちらは写真は用いず、鏡を見て描いています。

展覧会サブタイトルが「超絶技法を超えて」とあるように、‘リアルな描写’だけではない吉村の作品。モチーフは穏やかですが、異様な執念が滲み出ているような迫力です。

東京ステーションギャラリーを皮切りに広島・京都・長野と巡回します。会場と会期はこちらです。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年11月22日 ]

超絶技巧 美術館超絶技巧 美術館

山下裕二(監修),美術手帖編集部(編集)

美術出版社
¥ 1,944

 
会場東京ステーションギャラリー
開催期間2018年11月23日(金)~2019年1月20日(日)
所在地 東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東京駅 丸の内北口 改札前
TEL : 03-3212-2485
HP : http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
展覧会詳細へ 吉村芳生 超絶技巧を超えて 詳細情報
取材レポート
東京富士美術館「フランス絵画の精華」
フランス絵画の精華
寺田倉庫「STAR WARS™ Identities: The Exhibition」
スター・ウォーズ
ハラ ミュージアムアーク「印象派からその先へ ― 世界に誇る吉野石膏コレクション展」
印象派からその先へ
根津美術館「江戸の茶の湯
江戸の茶の湯
東京国立博物館
人、神、自然
出光美術館
やきもの入門
太田記念美術館「ラスト・ウキヨエ 浮世絵を継ぐ者たち ―悳俊彦コレクション」'
ラスト・ウキヨエ
国立科学博物館「特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて」
特別展 ミイラ
明治神宮ミュージアム「天皇陛下御即位奉祝 明治神宮ミュージアム開館記念展」'
明治神宮M. 開館
上野の森美術館「ゴッホ展」'
ゴッホ展
横浜美術館「オランジュリー美術館コレクション
オランジュリー
国立西洋美術館「ハプスブルク展
ハプスブルク展
国立新美術館「カルティエ、時の結晶」
カルティエ
パナソニック汐留美術館「ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン」'
デュフィ
Bunkamura
リヒテンシュタイン
東京都美術館「コートールド美術館展 魅惑の印象派」'
コートールド美術館
神奈川県立近代美術館
ふたたびの「近代」
国立歴史民俗博物館「ハワイ:日本人移民の150年と憧れの島のなりたち」
ハワイ:日本人移民
エリアレポート 国立西洋美術館「ハプスブルク展 ー 600年にわたる帝国コレクションの歴史」
[エリアレポート]
ハプスブルク
エリアレポート 横尾忠則現代美術館「横尾忠則 自我自損展」
[エリアレポート]
横尾忠則 自我自損
エリアレポート 小泉八雲記念館「ハーンを慕った二人のアメリカ人」
[エリアレポート]
小泉八雲
エリアレポート 豊田市美術館「岡﨑乾二郎 ー 視覚のカイソウ」
[エリアレポート]
岡﨑乾二郎
エリアレポート MIHO MUSEUM「The 備前 ―土と炎から生まれる造形美―」
[エリアレポート]
The 備前
エリアレポート 名古屋市美術館「カラヴァッジョ展」
[エリアレポート]
カラヴァッジョ
エリアレポート 岐阜県美術館「リニューアルオープン特別企画」
[エリアレポート]
岐阜美リニューアル
エリアレポート 京都国立近代美術館「円山応挙から近代京都画壇へ」
[エリアレポート]
円山応挙
エリアレポート 東京オペラシティ アートギャラリー「カミーユ・アンロ 蛇を踏む」
[エリアレポート]
カミーユ・アンロ
第3回 インターネットミュージアム検定
B-OWND 工芸のマーケットプレイスミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2020年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
2019年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
ゴッホ展 ハプスブルク展−600年にわたる帝国コレクションの歴史 ゴッホ展 特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて
特別展 「大浮世絵展 ー 歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演 ー」 カラヴァッジョ展 富野由悠季の世界 ラウル・デュフィ展 ― 絵画とテキスタイル・デザイン ―
博物館・美術館検索
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「鼠」
11/29 10時 投票スタート!
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2019、グランプリは「つくぞう&つくみ」でした
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2019 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社