インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  取材レポート  >  酒呑童子絵巻 ― 鬼退治のものがたり ―

酒呑童子絵巻 ― 鬼退治のものがたり ―

■酒好きは、ヤマタノオロチの遺伝です
【会期終了】 貴族の娘を略奪する極悪非道の鬼・酒呑童子に対し、勇敢な四天王が酒を飲ませて成敗する酒呑童子の物語。古来から多くの絵巻物に描かれて親しまれてきました。3種の酒呑童子絵巻を所有する根津美術館で、その表現の違いに着目した展覧会が開催中です。
多くの絵巻物や奈良絵本で表現されてきた酒呑童子。いくつかのバリエーションがあり、大きくは鬼の住みかによって大江山系と伊吹山系に分けられます。

根津美術館が所有する《酒呑童子絵巻》は、室町時代(16世紀)のもの、江戸時代(17世紀)のもので伝狩野山楽筆、江戸時代(19世紀)のもので住吉弘尚筆の3種類。ストーリーとしてはいずれも伊吹山系に属しますが、年代の違いもあり、その画風は大きく異なります。

まずは室町時代(16世紀)の《酒呑童子絵巻》。伝来しているのは1巻だけですが、おそらくは3巻構成で、現存しているのは中巻の大部分と見られています。最大の特徴は、その画風。「ゆるい」という形容がピッタリで、寝入っている鬼の姿は、全く怖くありません。

続いて、江戸時代(17世紀)伝狩野山楽筆の《酒呑童子絵巻》。画風から狩野派の絵師によるものと思われますが、はっきりとしません。精密な花鳥表現が印象的で、特に酒呑童子の館の庭は長大な画面に描いています。伊吹山系の最古本である狩野元信筆《酒呑童子絵巻》(サントリー美術館蔵)を踏襲した作品です。



最後が江戸時代(19世紀)、住吉弘尚筆の《酒呑童子絵巻》。他の作品とは異なり前半部分に酒呑童子の生い立ちが描かれており、全8巻49段という長大な構成。本展ではその全貌がはじめて公開されました。ざっとストーリーをご紹介しましょう。

物語は、素戔嗚尊(スサノオノミコト)が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治する場面からはじまります。童子は悪霊になったヤマタノオロチの霊魂を祀った伊吹明神の子です。

近江国で生まれた童子は、3歳から酒が大好き。禁酒のため比叡山に修行に出されるも、祝いの宴で久しぶりに酒を飲んで大暴れ。伝教大師(最澄)に追い出され、伊吹の岩屋に住む事になります。

時を経て、童子の悪行が復活。村里で女や子供を奪って食べる童子に対し、伝教大師が7日間に及ぶ修行で追い払いますが、童子は都近くの千丈ヶ嶽(大江山)に住み着いて百年も雌伏。大師がいなくなった世で、また悪事を働きます。

安倍晴明の占いで、悪事は酒呑童子の仕業と判明。源頼光に追討の勅命が出され、自分に従う四天王(渡辺綱、坂田公時、碓井貞光、卜部季武)、さらには藤原保昌の6名で討伐隊を結成。住吉・熊野・八幡の三神の導きで、酒呑童子の館に入ります。

三神から授かった酒で酒呑童子を酔わせた一行は、ついに討伐へ。見事、首を討ち落としますが、なおも刎ねられた首が頼光にかみつきます。ただ、ここでも三神から授かっていた兜をかぶっていたため、難を逃れました。その他の家来も討ち取って凱旋し、帝から重い恩賞を受けました。

成敗のシーンだけにスポットが当たる事が多い《酒呑童子絵巻》の全容を楽しめる、またとない機会です。この季節恒例の伝狩野山楽《百椿図》(展示室5のテーマ展示)もあわせてどうぞ。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年1月9日 ]

美術展完全ガイド2019美術展完全ガイド2019

晋遊舎(編)

晋遊舎
¥ 1,080

 
会場根津美術館
開催期間2019年1月10日(木)~2月17日(日)
所在地 東京都港区南青山6-5-1
TEL : 03-3400-2536
HP : http://www.nezu-muse.or.jp/
展覧会詳細へ 酒呑童子絵巻 ― 鬼退治のものがたり ― 詳細情報
取材レポート
森アーツセンターギャラリー「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」
新・北斎展
世田谷文学館「ヒグチユウコ展 CIRCUS(サーカス)」
ヒグチユウコ展
原美術館「「ソフィ カル ― 限局性激痛」原美術館コレクションより」
ソフィ カル
サントリー美術館「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」
河鍋暁斎
東京国立博物館「特別展「顔真卿 王羲之を超えた名筆」」
顔真卿
太田記念美術館「小原古邨」
小原古邨
静嘉堂文庫美術館「岩﨑家のお雛さまと御所人形」
岩﨑家のお雛さま
静岡市美術館「起点としての80年代」
起点としての80年代
国立新美術館「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」
イケムラレイコ
パナソニック 汐留ミュージアム「子どものための建築と空間展」
建築と空間展
国立科学博物館「明治150年記念 日本を変えた千の技術博」
千の技術博
ポーラ美術館「モダン美人誕生-岡田三郎助と近代のよそおい」
モダン美人誕生
弥生美術館「画業60年還暦祭 バロン吉元☆元年」
バロン吉元☆元年
21_21 DESIGN SIGHT「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」
「民藝」展
岡田美術館「開館5周年記念展 美のスターたち ―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―」
美のスターたち
ソニーミュージック六本木ミュージアム「乃木坂 46 Artworks だいたいぜんぶ展」
乃木坂 46 展
国立科学博物館「明治150年記念 日本を変えた千の技術博」
[エリアレポート]
千の技術博
ポーラ美術館「モダン美人誕生-岡田三郎助と近代のよそおい」
[エリアレポート]
モダン美人誕生
すみだ北斎美術館「北斎アニマルズ」
[エリアレポート]
北斎アニマルズ
藤子・F・不二雄ミュージアム みんなのひろばリニューアル
[エリアレポート]
みんなのひろば
たばこと塩の博物館「江戸の園芸熱」
[エリアレポート]
江戸の園芸熱
横浜美術館「イサム・ノグチと長谷川三郎 ― 変わるものと変わらざるもの」
[エリアレポート]
イサム・ノグチ
京都国立近代美術館「世紀末ウィーンのグラフィック」
[エリアレポート]
世紀末ウィーン
パナソニック 汐留ミュージアム「子どものための建築と空間展」
[エリアレポート]
建築と空間展
第3回 インターネットミュージアム検定
ミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2019年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
新・北斎展 HOKUSAI UPDATED フェルメール展 顔真卿 王羲之を超えた名筆 アルヴァ・アアルト もうひとつの自然
奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド ゴッホ展 北斎アニマルズ イメージコレクター・杉浦非水展
博物館・美術館検索
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「猪」
グランプリは「ペッカリー(ヘソイノシシ)象形土偶」でした
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2018、グランプリは
「雷切丸くん」でした
人気の展覧会 ブログパーツ アクセス数が多い展覧会を地域別にご紹介、ご自由にどうぞ。
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2019 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社