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    レポート
    トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美
    国立新美術館 | 東京都
    オスマン帝国を象徴する「ラーレ」
    トプカプ宮殿博物館(トルコ・イスタンブル)が所蔵する宝飾品、美術工芸品などの作品約170点が、国立新美術館へやってきました。トルコ国民が愛する花・チューリップに焦点を当て、東西の文化を受容・融合してきたオスマン帝国の美意識や文化を紹介していきます。
    (手前)《宝飾兜》オスマン帝国 16世紀後半
    《ターバン飾り》オスマン帝国(インド様式の影響が見られる) 17世紀
    (左から)《亜鉛製取っ手付きポット》オスマン帝国 16世紀末 / 《亜鉛製皿》オスマン帝国 16世紀末 / 《亜鉛製皿》オスマン帝国 16世紀
    (左から)《スルタン・ムラト3世の間(ハス・オダ)図》イギリス 1926-33年 / 《エディルネ木画の葛籠》オスマン帝国 18世紀末
    《セレンク織布片》オスマン帝国 1600年頃
    (手前)《スルタン・アフメト3世の施水場模型》オスマン帝国 1893年8月16日 / (奥)《サーイェバーン(日陰テント)》オスマン帝国 18世紀末-19世紀初頭
    (左から)《皿》ヨーロッパ 18世紀 / 《皿》ヨーロッパ 19世紀 / 《皿》ヨーロッパ 18世紀 / 《蓋付皿》フランス 19世紀
    (左から)《バラ水入れ》中国・清代 1700-25年 / 《急須》中国・清代 1700-25年 / 《染付水差し》中国・明代-清代 17世紀中期
    (左から)《花瓶》明治時代 / 《花瓶》明治時代 / 《花瓶》明治時代 いずれも、トルコ国立宮殿局コレクション
    日本に対して友好的なことでも知られるトルコ。両国の交流は、1873年に岩倉使節団・団員の島地黙雷(西本願寺僧侶)と、福地源一郎(ジャーナリスト、戯曲家)が、イスタンブルに訪問したことから始まります。

    両国の友情を深めたのが、1890年のオスマン帝国軍艦・エルトゥールル号遭難事故。紀伊半島沖での事故に、地元の人々は献身的に救難・介護にあたったほか、義援金を野田正太郎(時事新報記者)と、山田寅次郎(商人、後に茶道宗徧流第八代家元)がトルコヘ持参。両国友好のシンボルになりました。

    オスマン帝国の頃よりトルコ人に愛されてきた「チューリップ」に焦点を当てた本展では、トプカプ宮殿博物館が所蔵する16世紀から19世紀までの宝飾品、美術工芸品などを紹介。そのほとんどが初来日です。

    チューリップは、トルコ語で「ラーレ(lâle)」と呼ばれています。アラビア文字でラーレの文字配列を組み替えると、イスラム教の神のアッラーという言葉に。さらに、アラビア文字で表記されたラーレを語末から読むと、トルコ国旗のシンボルでもある三日月(ヒラール)という言葉に変わります。



    会場は3章構成。第1章「トプカプ宮殿とスルタン」では、スルタンが愛用した宝飾品を展示。《宝飾兜》は、よく見ると細かくチューリップが描かれています。単眼鏡を持ってご覧ください。

    第2章は、「オスマン帝国の宮殿とチューリップ」。ここでは、チューリップ文様で飾られた宮殿生活が紹介されています。

    《サーイェバーン》は、2本の柱で支えられる日陰用テント。スルタンや高官たちが、即位や祝宴での観覧、遠征で本陣のテントが組み込まれる前の休憩場として使用しました。主要モチーフの大きな円文の中心には、太陽と三日月が。この二つのモチーフは、国家の威厳と規範を示しています。

    第3章「トルコと日本の交流」では、日本からトルコへ送られた品々が展示されています。左二つの存在感のある大きさと光沢のある有線七宝の花瓶は、尾張(愛知)地方のもの。

    右側の青い花瓶は有田焼です。花瓶の胴には、鹿と西洋で好まれる森の描写が。ヨーロッパの画法に注意を払いつつ、日本らしさもある花瓶。波打った口もおしゃれです。

    トプカプ宮殿内を思わせる展示空間も必見。ミュージアムショップも充実していますので、ぜひ。東京展終了後に、京都国立近代美術館へ巡回します。

    [ 取材・撮影・文:静居絵里菜 / 2019年3月19日 ]

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    ぴあ(編)

    ぴあ
    ¥ 994

    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    国立新美術館 企画展示室2E
    会期
    2019年3月20日(水)~5月20日(月)
    会期終了
    開館時間
    <企画展>
    10:00~18:00
    ※当面の間、夜間開館は行いません。
    ※入場は閉館の30分前まで
    <公募展>
    10:00~18:00
    ※美術団体によって、異なる場合があります。
    ※入場は閉館の30分前まで
    休館日
    火曜日(ただし、4月30日は開館)
    住所
    東京都港区六本木7-22-2
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://turkey2019.exhn.jp/
    料金
    一般 1,600(1,400)円 / 大学生 1,200(1,000)円 / 高校生 800(600)円 / 中学生以下 無料

    ※( )内は前売券および20名以上の団体料金
    ※障がい者手帳をご持参の方(付き添いの方1名を含む)は無料
    ※前売券情報は、公式サイトをご覧ください
    展覧会詳細 トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美 詳細情報
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