
国立西洋美術館 前庭の「T字の線」
施設整備のため2020年10月から休館していた国立西洋美術館が、2022年4月9日(土)にリニューアルオープンする。
大きく改修されたのが、ル・コルビュジエが設計した美術館前の前庭。
美術館の前庭は1959年の開館以来さまざまな改変が行われており、2016年に本館と前庭を含む敷地全体がユネスコの世界文化遺産に登録された際に、当初の前庭の設計意図が一部失われているという指摘がなされていた。
今回、地下にある企画展示室の屋上防水の更新にあわせて、前庭を本館開館時の姿に可能な限り戻すこととし、植栽は最小限に縮小。外部との連続性を持たせるため、柵も透過性のある意匠に変更した。
開館当時は西側(上野公園の噴水広場側)が正門で、その正門からロダンの《地獄の門》へと一直線に伸びる線と、途中で左に直角に曲がり本館へと誘うT字の線が引かれ、人の動きを誘導するような役割を担っていた。
今回の工事では西側に小さな門を設け、そこから延びるT字の線も、来館者が分かりやすくなるように再整備。ロダンの《考える人》と《カレーの市民》も当初に近い位置に変更され、T字の線に沿って進むことで、ル・コルビュジエの設計意図が感じられるようになった。
また、常設展の起点となる「19世紀ホール」は、これまでは有料エリアだったが、無料開放される。
リニューアルオープンと同時に始まる展覧会は、常設展(本館展示室・新館展示室)と、小企画展「調和にむかって:ル・コルビュジエ芸術の第二次マシン・エイジ ― 大成建設コレクションより」(新館 第1展示室)、小企画展「新収蔵版画コレクション展」(新館 版画素描展示室)。
リニューアルオープン記念の展覧会「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」は、2022年6月4日(土)~9月11日(日)に開催される。

国立西洋美術館 透過性がある意匠に変更された柵

国立西洋美術館 西側(上野公園の噴水広場側)に新設された出入口。「T字の線」はここから伸びている

国立西洋美術館 前庭の植栽は最小限に変更