
埼玉県立近代美術館「シアトル→パリ 田中保とその時代」会場
戦前にパリに移住して人気画家になるも、待ち望んだ日本への帰国を果たせないまま、パリで亡くなった画家・田中保(たなかやすし、1886-1941)の大規模な回顧展が、埼玉県で開催される。
田中は岩槻生まれ。18歳で移民としてシアトルに渡り、米国で働きながら絵を学び、画家としての地位を確立した。
有色人種に対する偏見が強い時代にもかかわらず、シアトルで出会った美術批評家、ルイーズ・ゲブハード・カンと結婚した。
1920年にはパリに移住し、サロン・ドートンヌなどの展覧会に出品を重ねて評価を高め、肖像画や裸婦像などで認められて人気を得た。
田中本人は祖国日本で認められたいという気持ちを持っていたが、日本で美術の教育を受けていない事が仇となり、帝展でも落選。ついに生前には、日本の画壇からは受け入れられなかった。
展覧会では最新の研究成果も踏まえて田中の画業を振り返り、その実像を再検証する。
「シアトル→パリ 田中保とその時代」は埼玉県立近代美術館で2022年7月16日(土)~10月2日(日)に開催。入館料は一般 900円など。
埼玉県立近代美術館での田中保の大規模展は、25年ぶりとなる。

埼玉県立近代美術館「シアトル→パリ 田中保とその時代」会場

埼玉県立近代美術館「シアトル→パリ 田中保とその時代」会場

埼玉県立近代美術館「シアトル→パリ 田中保とその時代」会場