青木淳デザインによる、「菱垣廻船」をモチーフにしたファサードが特徴の「ルイ・ヴィトン メゾン大阪御堂筋」が完成して1年。その5階に、2月10日「エスパス ルイ・ヴィトン大阪」がオープンしました。
「Joan Mitchell / Carl Andre - Fragments of a Landscape(ある風景の断片)」展 展示風景、エスパス ルイ・ヴィトン大阪 、2021年 Photo credits: © Keizo Kioku/Louis Vuitton
ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、東京にあるアートスペース「エスパス ルイ・ヴィトン」では、「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムを通して、ルイ・ヴィトンによる財団の美術館「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」の所蔵品を展示し、より多くの人に見てもらえるよう無料で公開しています。
万博、新しい美術館のオープンなどを控えた大阪に誕生した同施設は、関西の文化力を牽引してくれると期待せずにはいられません。
オープン記念となるのは、戦後アメリカを代表する2人のアーティスト、ジョアン・ミッチェルとカール・アンドレによる「Fragments of a landscape(ある風景の断片)」展です。広々としたスペースに、巨大な抽象絵画2点と彫刻作品1点がある風景は静かでありながら圧倒的パワーがあります。これらは、2019年フォンダシオン ルイ・ヴィトンで開催された「A Vision for Painting」展の一部を再構成したものです。
パッと黄色が飛び込んでくるのは、ジョアン・ミッチェルの絵画作品です。一見、光や花など自然描写のように見えますが、近づくと筆跡、絵具の盛り上がりなどの力強さに意表を突かれます。
「抽象的印象派」と呼ばれた豊かな色彩表現と、尊敬するゴッホから受けた主観的な強いエネルギーの表現。この2つを相乗させた彼女の作品の前から足が動きません。
JOAN MITCHELL 《Cypress》1980年 油彩、キャンバス(二連画) Oil on canvas (diptych) 220.3 x 360.7 cm Courtesy of the Fondation Louis Vuitton© The Estate of Joan Mitchell
一方、31のパーツからなるカ―ル・アンドレの彫刻作品《Draco》。Dracoとは、ドラゴン、トカゲという意味もあるのだとか。
ミニマル・アートを代表する彫刻家である彼は、素材を加工せず、展示される場所との関係を重視した作品を制作してきました。《Draco》は、四角く切られたままの木材が一列に並び、作家のサインさえも見当たりません。しかし会場の真ん中を区切るように置かれることで鑑賞者の動きに制約が生まれます。
分断というワードが頭を過りながらも、会場の奥へ誘導してくれる道標、架け橋にも見え、イマジネーションを高めてくれます。
会場風景
展示会場では、フォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵コレクションや過去の展覧会、美術以外の音楽会などの映像を鑑賞できるコーナーもあります。また、5階のアートスペースだけでなく、店内にも数多くの現代アートが飾られていて、建物全てを味わうことができます。
今、新たなアートスポットが出航します。
ルイ・ヴィトン メゾン大阪御堂筋では、店内にもアート作品が飾られています。
外観
[ 取材・撮影・文:カワタユカリ / 2021年2月9日 ]
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