1921年、あこがれのパリに渡ったマン・レイは、シュルレアリスム運動に加わりました。「レイヨグラフ」「ソラリゼーション」といった技法によって、写真の新しい表現を切りひらく一方で、既製品などを利用した立体作品=オブジェ制作でも、独特のユーモラスな作品で注目を集めます。また、交友関係も広く、文学者、思想家、画家、音楽家など、多くの人々の肖像写真も残しました。マン・レイは、革新的な芸術運動が次々と繰り広げられた20世紀前半の時代の目撃者でもあったのです。
マン・レイ(Man Ray)という名は、本名のエマニュエル・ラドニツキー(Emmanuel Radnitsky)を省略した形ですが、英語でManは「人間」、Rayは「光線」の意味も持ちます。いわば「人間/光線」といったところです。「マン・レイ」と名乗ることで、彼はラドニツキーという個人的な自分から自由になろうとしました。そしてマン・レイとしての活動も、「人間/光線」(マン・レイ)という出来事として客観的にとらえたのです。いったいマン・レイはどこにいるでしょうか。
正体不明のマン・レイ。あなたは画家?写真家?オブジェ作家?それとも・・・。「あなたは何者なのですか」という問いかけに彼は答えます。「私は謎だ。」
この展覧会は、写真、絵画、オブジェ、映像作品、版画など約300点の作品を通じて、マン・レイの全生涯に渡る活動を年代順にたどりながら、テーマで整理し、多角的にご紹介する本格的な回顧展です。マン・レイの「謎」を存分にお楽しみ下さい。