本展は日本洋画史を語る上で欠かせない東京美術学校・東京芸術大学卒業生と教員の名作約100点によって構成されます。日本が生んだ日本固有の「洋画」というジャンルの歩みを振り返るとともに、その将来への新鮮な芸術的展望を明らかにしていきます。
<展覧会のみどころ>
1.日本洋画の巨匠たちの代表作一堂に
本展覧会は、パリに留学し、日本洋画の歴史を作ってきた黒田清輝、藤島武二、梅原龍三郎、藤田嗣治、佐伯祐三、岡本太郎など洋画の巨匠たちの代表作を、パリ留学前後を対比させながら一堂に集め紹介します。
2.東京芸術大学創立120周年
東京芸術大学は日本の芸術教育の中心であり、明治以来、芸術創造と研究の拠点として多くの優れた芸術家・研究者たちを輩出してきました。特に洋画の分野では、時の芸術の都パリの美術学校を模範とし、西洋油彩画の普遍的特質を学びつつ、そこに日本人の個性をいかに表現するかを追及した多くの芸術家を輩出しました。本展では、色調の暗い旧派から明るい外光派への変遷など、東京芸術大学創立120周年を記念し、東京美術学校と東京芸術大学をめぐる日本の洋画史をわかりやすく展観します。
3.憧れのパリへ渡った洋画家たち100年余の記録
明治から平成まで、パリに留学して東京美術学校・東京芸術大学の西洋画科・油画科・絵画科油画専攻の教職に携わった画家と、同科卒業生のパリ留学者の中から主要な作家38人の作品を厳選しています。19世紀に西欧を体験した画家、黒田清輝、久米桂一郎、浅井忠、和田英作。そして彼らの指導のもとに洋画を学び20世紀になってパリに渡った藤島武二、藤田嗣治、安井曾太郎、梅原龍三郎らの第二世代。しだいに西欧のアカデミスムの影響から脱却も見られ、さらには東洋的テーマをとりあげる試みも行われるようになります。第一次世界大戦を境にパリに留学する日本人画家の質や意識は大きく変化し、大戦後の1918年頃から佐伯祐三をはじめ多くの日本人画家がパリをめざすようになりました。第二次世界大戦後の最初の留学生は野見山暁治でした。パリへ渡った画家たちの見たそれぞれの時代の夢の軌跡がここにあります。
4.パリ留学と作風変化
ヨーロッパから日本へ戻って作風はどのように変化していったのでしょうか。パリ留学時と帰国時の作風を比較する楽しみがあります。
5.貴重な画家の自画像
東京美術学校生が昭和17(1942)年まで卒業制作の一環として制作していた貴重 ネ画家の自画像も出品しています。
6.現在も続く洋画挑戦の歴史
新しい技法への挑戦、自己確立への挑戦、国際性・普遍性への挑戦、新しい表現への挑戦など洋画家の歴史は挑戦の歴史でもありました。パリも油彩画も美術の中心ではありえない今日、20世紀後半以降の表現はどこへ行くのでしょうか。「洋画の苦悩と未来」をも探ります。