「ニシン」は、北太平洋からベーリング海、アラスカ、カリフォルニア半島にかけて生息し、その卵巣を加工した「カズノコ」とともに、日本人にとって古くから食材としてなじみ深い魚です。春の産卵時期になると、北海道西岸へ大きな群れをなして回遊するため、明治から昭和初期にかけて大量に漁獲されたことから、漢字で「鰊」の他にも「春告魚」と表されました。しかし戦後、水揚げ量が激減し、近年、やや回復傾向にあるものの、依然として国内での水揚げ量は少なく、流通しているもののほとんどが海外から輸入されていることから、今では国産の「ニシン」は“貴重な大衆魚”となっています。今回展示する「ニシン」は岩手県宮古市にある「独立行政法人 水産総合センター 宮古栽培漁業センター」で種苗生産された国産の「ニシン」です。
なお、「ニシン」を展示している水族館は少なく、関西以西の水族館では海遊館が唯一の展示となります。
海遊館では、今回のように名前は広く知られていながらも、生きた姿は珍しい生物を展示することで、お客様に少しでも多くの生き物に興味をもっていただければと考えています。