大阪歴史博物館では、平成23年2月23日(水)から4月4日(月)まで、8階特集展示室において、特集展示「幕末大坂の絵師 森一鳳(もりいっぽう)」を開催します。大坂で活躍した絵師の森一鳳(1798~1871)は、円山応挙(まるやまおうきょ)の高弟森徹山(もりてつざん)の跡を継ぎ、写生画風の作品を描いて大いに賞賛を得た絵師です。肥後藩(ひごはん)細川家(ほそかわけ)の御用も務め、当代一流の絵師として名を馳せていました。一鳳は花や鳥など自然をモチーフにした絵を多く描き、季節感あふれる華麗な作品を残しています。また「藻刈舟(もかりぶね)」の図を多く描き、「藻を刈る一鳳」=「儲かる一方」として大坂の商家に喜ばれました。そこには大坂の人々が、単に美しい絵画を鑑賞するだけではなく、めでたいイメージを含んだ絵画を身近に飾ることにより、家の繁栄や幸福を願っていた様子がうかがわれます。本展観は、幕末に生きた大坂の人々が、どのような絵画を好み、そこにどのような願いを込めていたのかを、一鳳の作品を通して紹介します。今回の展示を通して、幕末大坂の文化や芸術水準の高さを認識していただく機会となれば幸いです。