「平凡パンチ」、「アンアン」、「ブルータス」…、1970~80年代のヴィジュアル雑誌の黄金時代を築いた稀代のアート・ディレクター、堀内誠一(1932-1987)。同時に、『ぐるんぱのようちえん』、『たろうのおでかけ』を描くなど、すぐれた絵本作家でもあった彼は、さらに世界を飛びまわる旅人でもありました。図案家の父の仕事場を遊び場とし、14歳で伊勢丹百貨店の宣伝課に入社した堀内誠一は、常に最先端の文化に触れながら、広告デザイン、エディトリアル・デザインの第一線で活躍し、時代を象徴しつつ新しい流れをつくる斬新な作品を次々と生み出しました。そして、手がけた絵本は100冊あまり。彼の絵本は今も多くの子供たちに親しまれています。加えて海外の絵本作家を紹介するなど、絵本の普及も積極的に行いました。1974年からは7年間パリに住み、世界各地を旅してその魅力を多くの人に伝えています。本展は、堀内誠一が手がけた雑誌や本の装丁、ポスターや絵本原画はもちろんのこと、少年時代のスクラップ・ブック、自画像、世界の絵本、友人・知人宛ての絵入りアエログラム(航空書簡)、手描きの観光マップ、そして各地の人形など、彼の人生の足跡を辿る作品や資料で構成します。旺盛な好奇心と独自のセンス、卓越した行動力によって生み出された作品の数々を、「デザイン」「絵本」「旅」の三つのテーマでご紹介します。また、さいたま市ゆかりの児童文学者、石井桃子、瀬田貞二との交流を示す資料も展示いたします。