福島県の景勝地、裏磐梯の美しい自然に囲まれた公益財団法人諸橋近代美術館は、スペインの天才芸術家サルバドール・ダリとヨーロッパの近代絵画の巨匠たちの名品を所蔵しています。とりわけ「柔らかい時計」などの幻想的な作風で知られるサルバドール・ダリの彫刻、絵画、版画などの作品約350点は、世界でも屈指のダリ・コレクションとして知られています。
諸橋近代美術館の所蔵品を選りすぐって紹介する本展は、平成24年(2012年)春に、当館の所蔵品による展覧会「版画でみる20世紀展 ピカソからウォーホルまで 滋賀県立近代美術館コレクションより」が同館で開催されたことがきっかけで実現することになりました。諸橋近代美術館の名品コレクションが、同館の外でまとまった形で一挙に展示公開されるのは今回が初めてです。
本展の第1部では、ピサロ、セザンヌ、ルノワール、ゴッホ、ピカソ、マティス、シャガールなど、印象派からエコール・ド・パリを経て、シュルレアリスムにいたるヨーロッパ絵画の流れを珠玉の名品で辿ります。サルバドール・ダリを特集する第2部は、ダリの油彩画や水彩画、コラージュをはじめ、優雅で幻想的な彫刻、『カルメン』、『ドン・キホーテ』などスペイン色濃厚な版画シリーズや家具など、奇才ダリの幅広い活動を紹介する充実した内容となっています。
本展は、国内でもあまり知られていない名品コレクションを見るまたとない機会であり、19世紀後半から20世紀にかけて、フランスとスペインを中心に華麗に花開いた近代美術の多彩な魅力をご堪能いただけることでしょう。