1953年に創立された国際デザインコミッティーを基礎に結成された、日本デザインコミッティー。創設メンバーは丹下健三、柳宗理、剣持勇、亀倉雄策、岡本太郎、勝見勝ら15名でした(顧問含む)。メンバーは不定期で入れ替わり、現在は40代から90代まで26名が参加しています。
その活動は、大きく3つ。松屋銀座の7階に常設され、世界中の優れたデザイングッズを販売する「デザインコレクション」の商品選定。8階で隔年で開催される企画展の運営。そして売り場に併設された「デザインギャラリー1953」の運営。活動を通して、創立以来、旗印に掲げてきた「デザインの啓蒙」を行っている非営利の団体です。
メンバーは、いわば日本のクリエイティブの最先端といえる存在ですが、今回の展覧会は、26名全員について、デザインの完成形に至るまでの資料を公開するもの。いわば、仕事の方法論・哲学・品質をさらけ出してしまうという、かなり大胆な企画です。
会場の入り口部分では、日本デザインコミッティーの活動を紹介。現在まで顧問を含めて参加した71名が名を連ねるメンバー年表もあります。新しいメンバーの参加は既存のメンバーの推薦を経てコミッティー内で議論し、満場一致で決定するそうです。
最初の展示室では、「原画が生まれるところ」と題した映像。原 研哉(グラフィックデザイナー)、伊藤隆道(造形家)、鈴木康広(アーティスト)、山中俊治(デザインエンジニア)の、それぞれが手を動かして思考を膨らませていく過程です。
続いて、26名のデザイナーたちが見せる「原画」。いわば展覧会のキモといえる部分です。展示されているのはスケッチをはじめ、模型材料やアイディアメモなどさまざま。プロジェクトの分野や、制作年、デザイナーの世代、そしてデザイナーの個性の違いにより、つくられる原画もさまざまです。
展示されているプロジェクトは著名なものが多いので、原画と完成品との比較もおすすめ。完成までのプロセスを追う事で、デザイナーがどこにこだわったのかが理解できます。
会場最後では、インタビュー集も。田川欣哉(本展ディレクター)と鈴木康広が、メンバーひとりひとりにインタビューしています。仕事に対する取り組み方や哲学など、金言が満載。特設ウェブサイトでもインタビュー集は公開されています。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年11月21日 ]