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    レポート
    生誕100年 松田正平展 陽だまりの色とかたち
    ※2016年1月31日閉館※ 神奈川県立近代美術館 鎌倉 | 神奈川県
    油絵に立ち向かった、その先
    角ばった太い輪郭線の裸婦、大きな口の魚や犬、そして繰り返し描いた周防灘…。飄々とした油彩画で多くの人に愛された松田正平の生誕100年を記念した展覧会が、神奈川県立近代美術館 鎌倉で開催中です。
    《オヒョウ(大きな魚)》1984年 山口県立美術館蔵(左)
    《婦人像》1935年 個人蔵(右)
    《銭湯》1955年 山口県立美術館蔵(右)
    展示室1
    《乾魚》1959年 宇部市蔵(右)
    《モデル》1986年 個人蔵(右)
    《月と犬と裸婦》1978年 個人蔵(右)
    《バラ》1997年 個人蔵(右)
    《周防灘》1983年 下関市立美術館蔵
    松田正平は1913(大正2)年、島根県生まれ。山口県宇部市で幼少期を過ごし、東京美術学校からパリに留学。戦争で帰国した後は神奈川、山口、東京、千葉と移り住みながら創作を続け、2004年に91歳で死去しました。

    一般にその名が知られるようになったのは晩年になってからですが、おおらかでほのぼのとした作品は見る人の心をとらえます。

    山口県立美術館から巡回してきた本展は、関東では初めてとなる大規模な回顧展。美術学校時代から晩年まで、101点を展示します。


    《自画像(Mの肖像)》から、会場

    東京美術学校では藤島武二に学んだ松田正平。その作品は、戦前から戦後にかけて少しづつ厚塗りになっていきます。

    1960年頃には絵の具の塊がカンヴァス上に附着するようになり、油絵の具と格闘するように創作を続けていきました。


    1959年の《灯台》を横から見ると、厚塗りがはっきりと見てとれます

    その後、徐々に作品は薄くなり、80年代には透明感のある水彩のような表現に変わっていきます。

    古い蔵の中を使ったアトリエで黙々とカンヴァスに向き合った作品は、美術評論家の洲之内徹らに評価されるようになります。そして1984年には第16回日本芸術大賞を受賞、この時松田は71歳でした。


    1986年の《モデル》の頃には、画風も安定しています

    松田正平のアトリエには「犬馬難鬼魅易」と書かれた自筆の短冊が置かれていました。

    鬼や化け物などを描くのは簡単だが、犬や馬などのありふれたものを描くのは難しい、という意味。身近なモティーフを好んだ松田の姿勢が現れています。


    「犬馬難鬼魅易」の章

    展覧会の最後は、周防灘の章。瀬戸内海の西の端にあたるこの海を、松田正平は半世紀にわたって描き続けました。


    「悠久の周防灘」の章

    長い間不遇の日々を過ごしながらも、真摯に油絵と向き合った松田正平。図録の最後には、松田正平のこんな言葉が載っていました。

    「わたしは油絵がわからんから生涯描くでしょう、油絵を本気で。」


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年6月27日 ]

    風の吹くまま ― 松田正平画文集

    松田 正平 (著)

    求龍堂
    ¥ 3,150

     
    会場
    会期
    2013年6月8日(土)~9月1日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:00(入館16:30まで)
    休館日
    月曜日(祝日は開館)、年末年始、展示替え期間
    住所
    神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-53
    電話 0467-22-5000
    公式サイト http://www.moma.pref.kanagawa.jp
    料金
    一般 900(800)円/20歳未満と学生 750(650)円/65歳以上450円/高校生 100円
    ※()内は20名以上の団体料金
    ※中学生以下、障害者手帳をお持ちの方は無料です
    展覧会詳細 「生誕100年 松田正平展 陽だまりの色とかたち」 詳細情報
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