インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  取材レポート  >  小沢剛 不完全 ー パラレルな美術史

小沢剛 不完全 ー パラレルな美術史

■「美術」への問いかけ
【会期終了】 現代アーティストの小沢剛(1965-)さん。身の回りの事象や美術の歴史などを題材に、ユーモラスかつシニカルに社会を見つめた作品で知られています。関東では2004年以来となる大規模個展が、千葉市美術館で開催中です。
展覧会は大きく7つのエリアで構成されており、冒頭は展覧会タイトルでもあるインスタレーション作品『不完全』です。

白い山(素材は羊毛や綿など)に、石膏像が林立している作品。明治以来、石膏デッサンは美術教育の定番でした。過去の遺物ともいえる石膏像を通じて、日本における近代美術の出発点を再考しようと試みます。

小沢さんが金沢で感じた不思議を形にしたのが『金沢七不思議』。作品を構成する「ねぶた人形」「博多人形」などは、現在では、美術として捉えられる事はありません。明治時代に輸入された西洋由来の「純粋芸術」からこぼれ落ちた品々を、見世物小屋風の仕立てで紹介します。

『す下降にンバンレパ兵神神兵パレンバンに降下す』は、初公開の新作。鶴田吾郎による著名な戦争画《神兵パレンバンに降下す》をモチーフに、鏡面状に転写しました。敵に向けた銃口は自分に向き、敵に投げる手榴弾は自分に向かう。時世を映しているかのようです。


『不完全』『金沢七不思議』『す下降にンバンレパ兵神神兵パレンバンに降下す』

下のフロアに進むと『帰って来たペインターF』。歴史上の人物を題材にしたフィクション(一部は事実)のシリーズです。ここでの「ペインターF」は、藤田嗣治。精力的に戦争画を描き、敗戦後に責任を問われた藤田は、実際には戦後にパリ(フランス)に戻りますが、ここではバリ(インドネシア)に渡ります。

明治時代に行われた興行をイメージしたのが『油絵茶屋再現』。五姓田芳柳と義松の親子が、見世物小屋で油絵を披露した事に由来します。油絵こそ、当時の最先端技術。現代の目線では一般的に思える肖像画も、驚きをもって受けられました。‘最新技術を用いたリアル感’は、今でいえばVRでしょうか。

『醤油画資料館』は、とてもユーモラス。醤油で絵を描く「醤油画」は小沢さんによるフィクションですが、「桃山時代が全盛」「明治時代に再評価」など、妙に設定がリアルなので、本当の出来事のように感じます。リキテンスタインやウォーホルのポップ・アートも、醤油画になりました。

最後が『なすび画廊』。内側を白く塗った牛乳箱を画廊に見立てて、著名アーティストとコラボ。貸画廊という日本独自の制度への批判からはじまった作品ですが、世界各地で展開されました。


『帰って来たペインターF』『油絵茶屋再現』『醤油画資料館』『なすび画廊』

表現は軽やかですが、発想のベースと作品に至るまでのプロセスは、かなり理知的です。日本美術の流れをある程度理解している方は、よりお楽しみいただけると思います。

最近の展覧会は撮影できるものが増えつつありますが、本展も撮影可能(フラッシュ・三脚・自撮り棒・動画撮影は不可)。撮影後は「# 不完全」で、拡散お願いいたします。

展覧会にあわせた関連イベントもいくつか用意されていますが、注目は2月17日(土)のアーティストトーク。会田誠さんらをゲストに迎え、デッサンをしながら経験にもとづいたトークを行います。当日12時から整理券が配布されます。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年1月16日 ]

美術展ぴあ2018美術展ぴあ2018

 

ぴあ
¥ 950


■小沢剛 不完全 に関するツイート


 
会場千葉市美術館
開催期間2018年1月6日(土)~2月25日(日)
所在地 千葉市中央区 中央3-10-8
TEL : 043-221-2311
HP : http://www.imperfection.info/
展覧会詳細へ 小沢剛 不完全 ー パラレルな美術史 詳細情報
取材レポート
府中市美術館「青木野枝 霧と鉄と山と」'
青木野枝
東京国立博物館「出雲と大和」'
出雲と大和
弥生美術館「もうひとつの歌川派?! 国芳・芳年・年英・英朋・朋世」'
もうひとつの歌川派
東京都現代美術館「ミナ
皆川明
明治神宮ミュージアム「天皇陛下御即位奉祝 明治神宮ミュージアム開館記念展」'
明治神宮M. 開館
渋谷区立松濤美術館「パリ世紀末ベル・エポックに咲いた華 サラ・ベルナールの世界展」'
サラベルナール
東京都江戸東京博物館「特別展「大浮世絵展
大浮世絵
三井記念美術館「国宝
明治天皇への献茶
東京ステーションギャラリー「坂田一男
坂田一男
出光美術館
やきもの入門
東京国立近代美術館「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」'
窓展
岡田美術館「DOKI土器!土偶に青銅器展
DOKI土器!
東京富士美術館「フランス絵画の精華」
フランス絵画の精華
三菱一号館美術館「印象派からその先へ ― 世界に誇る吉野石膏コレクション展」
印象派からその先へ
神奈川県立近代美術館
ふたたびの「近代」
国立新美術館「ブダペスト
ブダペスト
東京国立博物館
人、神、自然
根津美術館「〈対〉で見る絵画」'
〈対〉で見る絵画
エリアレポート 京都国立近代美術館「記憶と空間の造形 イタリア現代陶芸の巨匠 ニーノ・カルーソ」
[エリアレポート]
ニーノ・カルーソ
エリアレポート 名古屋市美術館「没後90年記念 岸田劉生展」
[エリアレポート]
岸田劉生
エリアレポート 愛知県美術館「コートールド美術館展 魅惑の印象派」
[エリアレポート]
コートールド
エリアレポート 大阪市立東洋陶磁美術館「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション」
[エリアレポート]
竹工芸名品展
エリアレポート 中之島香雪美術館 「上方界隈、絵師済々 Ⅰ」
[エリアレポート]
上方界隈、絵師済々
エリアレポート パナソニック汐留美術館 「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」
[エリアレポート]
暮らしの夢
エリアレポート 岐阜県現代陶芸美術館「小村雪岱スタイル 江戸の粋から東京モダンヘ」
[エリアレポート]
小村雪岱
エリアレポート 三鷹市美術ギャラリー「壁に世界をみる ― 吉田穂高展」
[エリアレポート]
吉田穂高
エリアレポート 豊田市美術館「岡﨑乾二郎 ー 視覚のカイソウ」
[エリアレポート]
岡﨑乾二郎
エリアレポート 国立西洋美術館「ハプスブルク展 ー 600年にわたる帝国コレクションの歴史」
[エリアレポート]
ハプスブルク
エリアレポート 半蔵門ミュージアム 「復元された古代の音」
[エリアレポート]
古代の音
エリアレポート 小泉八雲記念館「ハーンを慕った二人のアメリカ人」
[エリアレポート]
小泉八雲
第3回 インターネットミュージアム検定
B-OWND 工芸のマーケットプレイスミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2020年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
ハプスブルク展−600年にわたる帝国コレクションの歴史 ゴッホ展 特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて デザインあ展 in SHIGA
天皇陛下御即位奉祝 明治神宮ミュージアム開館記念展 千手千足観音立像 高月町西野 正妙寺 特別展 「大浮世絵展 ー 歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演 ー」 利休のかたち 継承されるデザインと心
博物館・美術館検索
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「鼠」
グランプリは《大根喰う(大黒)》でした
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2019、グランプリは「つくぞう&つくみ」でした
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2020 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社