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企画展「髙林和作―サバクに立つ画家の眼差し―」
さかい利晶の杜 | 大阪府

堺市出身の洋画家、髙林和作(わさく)をご存知でしょうか。

現在、大阪府堺市の「さかい利晶の杜」では、髙林和作生誕120周年を記念した展覧会が開催されています。あまり広く紹介される機会が多くなかった彼の作品が一堂に会するのは約20年ぶり。戦前戦後を生きた“カラリスト”髙林和作の軌跡を味わうことができます。


《水車小屋》1948年頃 堺市博物館蔵


百舌鳥古墳群にたたずむ国指定重要文化財「髙林家住宅」。髙林は、戦国時代から続くこの旧家に8人兄弟姉妹の次男として生まれました。早稲田大学卒業後、大阪に戻り英語教師として働いていましたが、1928年フランスへ渡ります。大阪で信濃橋洋画研究所に通っていたともされていますが、パリで本格的に西洋画を学び始めます。

この時代はエコール・ド・パリの盛期で、一時期は日本人画家が500人近くもパリに滞在していたそうです。会場には「1919年~1940年の間に渡欧した洋画家たち」と題した資料が掲示されています。

藤田嗣治、東郷青児や佐伯祐三など36名の画家たちの渡欧時期が一目で分かり、興味深く見ることができました。



展示風景


1932年、髙林は帰国後、京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)に勤務しながら制作活動にいそしみます。《水車小屋》のように、フランス留学前後に描かれた作品は青みを基調としていましたが、1950年以降の豊かな色彩の変化には目を見張ります。

幾度も通い描いた《知恩院》は印象的です。紫と青で表現された建造物は逆光の中にあり、モネの《ルーアン大聖堂》を思い起こさせます。《初夏赤松》《河岸の秋》などでは、髙林がもっとも影響をうけたフォーヴィズムの様式が見てとれます。明るい色調にのびやかさを感じますが、彼の心のうちはそうでなかったようです。



寄稿エッセイの一部と《自画像》1960年代前半 油彩、木板


1951年に朝日新聞に寄稿したエッセイ「サバクに立つ画家」の中で、当時の洋画壇に対し、新様式への追従や技術偏重などを嘆き、日本の文化的土壌を「サバク」と例えています。

その記事の隣に展示されている《自画像》はユニークですが、どこにもぶつけようがない苛立ち、歯がゆさを筆にのせ、自分は自分で行こうとしている姿勢が伝わります。



《港の春》1965年 堺市博物館蔵


退職後、髙林は和歌山、愛媛、九州と南国の雰囲気が漂う場所での制作旅行を精力的に行います。この頃の作品は、比較的大まかな筆づかいで描かれ、画面から光を感じます。

自然を前に大きく息を吸い、筆を動かす彼の姿が浮かびます。「もっと奔放な絵を作りたい。」家族に宛てた手紙に書かれた一文です。髙林の目の前に広がる景色が浮かんできそうです。


[ 取材・撮影・文:カワタユカリ / 2021年2月12日 ]


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会場
さかい利晶の杜
会期
2021年2月13日(Sa)〜3月21日(Su)
会期終了
開館時間
9:00~18:00(入館は閉館の30分前)
休館日
2月15日(月)、2月16日(火)、3月16日(火)
住所
〒590-0958 大阪府堺市堺区宿院町西2丁1番1号
電話 072-260-4386
公式サイト http://www.sakai-rishonomori.com/
料金
一般300円、高校生200円、小中学生100円
展覧会詳細 企画展「髙林和作―サバクに立つ画家の眼差し―」 詳細情報
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