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    レポート
    ─ 明治150年記念 ─ 明治からの贈り物
    静嘉堂文庫美術館 | 東京都
    現代に残る明治からの贈り物
    今年は明治元年(1868)から満150年の記念の年。全国各地で、明治150年関連の展覧会やイベントが催されています。静嘉堂文庫美術館でも、岩﨑彌之助とその息子・小彌太が蒐集した明治の美術館を紹介する展覧会が開催中です。
    《七宝式花卉図瓶 一対》 濤川惣助(下絵:渡邊省亭) 明治時代(19~20世紀)
    《羽衣刺繍額》菅原直之助 明治40年(1907) (右図は部分)
    (左から)《阿房宮図》 江戸時代 天保年間(1830~1841) / 《呂后斬戚夫人図》 江戸時代 天保14年(1843) いずれも菊池容斎
    重要文化財 《龍虎図屏風》 橋本雅邦 明治28年(1895)
    《柳流水青海波塗蒔絵重箱》 柴田是眞 江戸時代松~明治時代(19世紀)
    《地獄極楽めぐり図 付属内箱 是眞 銘》柴田是眞 明治5年(1872)
    (左奥から)《色絵金彩雲気文麒麟乗香炉》 /《色絵金彩牡丹文獅子乗香炉》 いずれも 明治9年(1876)頃 / 《釉下彩竹に雀図皿》 ゴットフリード・ワグネル、下絵:狩野(荒木)探令 明治18年(1885)
    (左から)《綴織壁飾用 織下絵 原画:伊藤若冲「動植綵絵」のうち「池辺群虫図」》 監修:荷台川島甚兵衛 画:奥田瑞寛 明治35年(1902)年頃 川島織物文化館所蔵 / 《伊藤若冲原画「動植綵絵」池辺群虫図 綴織額》 株式会社川島織物セルコン 平成22年(2010) 日本伝承染織振興会所蔵
    《裸体婦人像》黒田清輝 明治34年(1901)
    来場者を迎えるのは、菅原直之助《羽衣図 刺繍額》と《鞍馬天狗図 刺繍額》。こちらの作品は遠くから見ると絵画のようですが、近づいてみると…なんと刺繍。

    写真ではお伝え出来ないほどの精緻さは、まさに「超絶技巧」。糸に光が反射するので、見る角度によって印象が変わるのも見どころのひとつです。

    会場内で目を惹く鮮やかな水色は、七宝家・濤川惣助の作品です。

    濤川惣助は東京を中心に活躍した七宝家で、色釉(いろぐすり)の境界となる植線(輪郭線)を、最終段階の焼き上げで取り外す「無線七宝(省線七宝)」の技術を開発した人物でもあります。

    展示されている《七宝式花卉図瓶 一対》は、水彩画のようなぼかしが特徴。こちらも近くで見ると、ため息が出るほど美しい作品です。あまり近づきすぎて、ガラスケースぶつからないようにご注意ください。


    1章「岩﨑家高輪本邸を飾った明治美術」、2章「幕末明治の美術」、3章「岩﨑家と近代美術~第4回内国勧業博覧会と名品~」

    ジョサイア・コンドルが設計した岩﨑家高輪本邸(現・関東閣)のビリヤード・ルームに飾られていた、黒田清輝《裸体婦人像》も紹介されています。

    《裸体婦人像》は「腰巻事件」を引き起こした問題作です。1900年、フランスから帰国した黒田が第6回白馬会展に出品しましたが、当時の日本では裸体画は公序良俗に反するとされ、下半身が布で覆われて展示される事態に。これが「腰巻事件」の由来です。

    残念ながら、ビリヤード・ルームは戦火に焼かれ、残っていません。会場では作品ともに、ビリヤード・ルームの写真パネルも展示され、当時の様子を紹介しています。


    4章「明治の彫刻・工芸の粋 Part.1」、5章「セントルイス万国博覧会とゆかりの美術」、6章「明治の彫刻・工芸の粋 Part.2」

    "画鬼"河鍋暁斎の傑作「地獄極楽めぐり図」は、本展で修復後初の大公開となります。

    全40図からなるこの画帖は、暁斎の大の贔屓だった日本橋大伝馬町の大店、小間物問屋の勝田五兵衛が、わずか14歳でこの世を去った娘・田鶴(たづ)を一周忌で供養したいと、暁斎に依頼したものです。

    「地獄極楽」と聞くと「怖い絵」と思われますが、暁斎の丁寧で優雅な筆致による地獄極楽道中記は、とてもユーモラス。こちらの作品は、会期中場面の展示替えがあります。詳しくは公式サイトをご覧ください。

    インターネットミュージアムでは、全国の「明治150年」関連の展覧会をご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。

    [ 取材・撮影・文:静居絵里菜 / 2018年7月18日 ]

    Discover Japan_CULTURE TOKYO美術館2018-2019Discover Japan_CULTURE TOKYO美術館2018-2019

    ディスカバージャパン編集部 (編集)

    エイ出版社
    ¥ 1,296


     
    会場
    会期
    2018年7月16日(月・祝)~9月2日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00-17:00(金曜日は10:00-18:00)※入館は閉館の30分前まで。
    休館日
    毎週月曜日(ただし、7月16日は開館)
    住所
    東京都世田谷区岡本2-23-1
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.seikado.or.jp/
    料金
    一般1,000円 大高生・身障者手帳をお持ちの方とその介助者1名700円 中学生以下無料
    (一般・大高生は20名以上団体割引あり)
    展覧会詳細 「─ 明治150年記念 ─ 明治からの贈り物」 詳細情報
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