「四代田辺竹雲斎展」会場入口
昨年、大阪市東洋陶磁美術館の「竹工芸名品展:ニューヨークのアビーコレクション」展で、すっかり竹に魅了されてしまいました。
その中でも会場ロビーにそびえるようなインスタレーション、四代田辺竹雲斎の作品を見た時の驚きは今でも鮮明に覚えています。
その四代田辺竹雲斎の展覧会が大阪・堺市で開催されると知り、さっそく行ってきました。

四代田辺竹雲斎 《つながり-無限Ⅰ-》
竹の細かい作業とまっすぐに伸びた細い脚。不思議な形ですが、どこか愛嬌があり、女性のようにも見えます。上部の丸い形状と脚の部分が、同じ竹からできているとは思えないほどです。
四代田辺竹雲斎は、代々受け継がれている伝統的な花籃(かご)や茶道具を制作する一方で、2000年頃から現代アートとしての竹工芸品や、漆芸や陶芸などの異なる分野の作業とコラボレーションした作品を作り始めました。
今回、それらの作品も紹介されています。

四代田辺竹雲斎/若宮隆志 《登竜門》 2016年
このほかの作品にしても、竹とそれぞれの工芸品の良さが合わさり、新しい分野のように感じます。
中でも、特に魅かれたのは≪Disappear Ⅱ≫です。これは他の作品と少し違っています。

四代田辺竹雲斎/貝島佐和子 《Disappear Ⅱ》 2020年
なんと構造計算による設計をもとに、数学的な設計や3Dプリンターを使って竹を編み上げ制作されているんです。
竹1本1本の曲線はプログラムによって生まれています。テクノロジーと伝統工芸の融合!
全くに想像していない組み合わせに驚きました。そして、そう、美しいのです。
歴代田辺竹雲斎の作品も並びます
本展では、歴代の作品も展示されていて、田辺竹雲斎の歴史を眺めることができます。
それぞれの代が伝統を守りつつも、その時代においての新しい表現を試みていることを知ります。そして四代が挑戦する現代アートとしての竹作品。
これから、四代のアイデアと技でさらに進化する竹工芸をみることができることを期待する反面、伝統工芸の奥深さもつくづく感じました。
そして私はますます竹にハマっていきそうです。
[ 取材・撮影・文:カワタユカリ / 2020年10月27日 ]
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