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    レポート
    三井家が伝えた名品・優品
    三井記念美術館 | 東京都
    新型コロナの影響で休館していた三井記念美術館、4カ月ぶりの展覧会
    開館15周年を記念した特別展、館蔵品から国宝・重要文化財など名品を紹介
    8月からは第2部「日本の古美術」。卯花墻、雪松図など、お馴染みの逸品も

    2005年10月8日に三井本館7階に開館した、三井記念美術館。5年ごとに節目の特別展が開催されてきましたが、15周年の今年も館蔵品の中から国宝・重要文化財を始め、周知の名品と、それらに匹敵する優品が紹介される事となりました。

    今回は第1部が東洋の古美術、第2部が日本の古美術という構成。ここでは8月から始まった第2部の中から、目にとまった作品をジャンル別でご紹介します。


    会場入口は茶道具から

    まず冒頭は、茶道具から。《布目色絵団扇形食籠》は永楽家十二代の永樂和全による作。独特の色は、目の粗い布を置いてから文様を描いているため。和全オリジナルの技法です。

    国宝《志野茶碗 銘卯花墻》は、三井記念美術館が誇る至宝です。日本で焼かれた茶碗で国宝に指定されているのは、本阿弥光悦の白楽茶碗(銘不二山)と、この卯花墻の2碗のみ。志野茶碗の最高傑作と称されます。


    永樂和全《布目色絵団扇形食籠》江戸時代・19世紀


    国宝《志野茶碗 銘卯花墻》桃山時代・16~17世紀

    続いて絵画。《駿河町越後屋正月風景図》に描かれているのは、江戸駿河町(現在の日本橋室町)の正月の様子です。向かって右側が呉服店、左側が綿店と、三井越後屋が両角地を占めていました。描いたのは鳥居清長。八頭身の美人画で知られますが、この肉筆画はそれほど極端なプロポーションではありません。

    国宝《雪松図屏風》も、三井記念美術館を代表する逸品です。正月に展示される事が多い作品ですが、今回はこの時期に見る事ができます。写生を重視しながらも、伝統的な装飾技法を加味。著名な円山応挙ですが、国宝に指定されているのはこの作品だけです。


    円山応挙 国宝《雪松図屏風》江戸時代・18世紀


    鳥居清長《駿河町越後屋正月風景図》江戸時代・18世紀

    書跡では重要文化財《古筆手鑑「たかまつ帖」》をご紹介しましょう。古筆手鑑とは、古筆切を集めてアルバム状にしたもの。多くは大名家の婚礼道具として作られました。いにしえの能書を楽しむとともに、手本としても使われました。


    重要文化財《古筆手鑑「たかまつ帖」》奈良~江戸時代・8~17世紀

    書籍と同じ展示室5で、独立ケースで紹介されているのが《両替年代記蒔絵硯箱》。こちらは新しく昭和初期のもので、十一代高棟の三男、高維が経済史研究書を出版した際に記念として制作された蒔絵硯箱です。蓋の裏には本物の慶長小判や銀貨、銅銭を象嵌。江戸随一の両替商だった三井家を象徴したデザインです。

    《染象牙貝尽置物》の牙彫の第一人者、安藤緑山による作。鮑、牡蠣、蛤、蜆、赤貝など、数種類の貝を取り合わせています。一般的に牙彫は、象牙の白さを活かすために着色しない作品が多い中、緑山は本物そっくりに着色します。


    象彦(八代西村彦兵衛)《両替年代記蒔絵硯箱》昭和時代初期・20世紀


    安藤緑山《染象牙貝尽置物》明治~昭和時代初期・20世紀

    重要文化財 伝孫次郎《孫次郎(オモカゲ)》は、女面の白眉と称される傑作。夭折した妻を偲んで、その面影を写したという伝承から「ヲモカゲ」の呼び名で知られます。下から見ると遠くを見つめるような表情に、上から見るとやや吊り目になって妖艶な表情にと、角度によって見え方が変わります。


    重要文化財 伝孫次郎《孫次郎(オモカゲ)》室町時代・14~16世紀

    国宝《短刀 無銘貞宗 名物徳善院貞宗》は相州貞宗による作。貞宗は「名刀正宗」などで知られる正宗の養子と伝えられる刀工で、正宗の作風を良く継承しています。豊臣秀吉から前田玄以、徳川家康、紀州徳川頼宣、西条松平家と伝来しました。


    国宝 貞宗《短刀 無銘貞宗 名物徳善院貞宗》鎌倉~南北朝時代・14世紀

    新型コロナウイルスの影響で2月29日から休館となっていた三井記念美術館。4カ月ぶりの展覧会となったのが本展です。当初は2020年の東京オリンピック開催に合わせ、「おもてなし」の気持ちを込めての企画でしたが、五輪は延期に。ただ、展覧会は15周年記念特別展としてそのままの構成での開催となりました。

    日時指定の前売りなどは必要ありませんが、検温とマスク着用は必須。開館時間も短縮されています。諸注意は公式サイトもご確認の上、お出かけください。


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2020年8月5日 ]

    野々村仁清《流釉輪花建水》江戸時代・17世紀
    重要文化財《日月松鶴図屏風》室町時代・16世紀
    《四季草花蒔絵源氏物語箪笥》江戸時代・19世紀/冊子:江戸時代・17世紀
    (左から)《黒繻子地綾杉松葉松毬模様縫箔》江戸時代・19世紀 / 《紺繻子地雪輪松竹菊蒲公英模様縫箔》江戸時代・18世紀
    会場
    三井記念美術館
    会期
    2020年7月1日(水)〜8月31日(月)
    会期終了
    開館時間
    11:00~16:00(入館は15:30まで)
    ※2020年7月1日から当面の間、開館時間短縮
    休館日
    月曜日、7月30日~31日(展示替え休館)、(8月10日、31日は開館)
    住所
    〒103-0022 東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 三井本館7階
    電話 050-5541-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.mitsui-museum.jp/index.html
    料金
    一般:1,300(1,100)円 / 大学・高校生 800(700)円 / 中学生以下無料

    ※70歳以上の方(要証明)1,000円
    ※リピーター割引:会期中、一般券、学生券の半券をご提示いただきますと、2回目以降は()内割引料金になります。
    ※障がい者手帳をご呈示の方、介助者1名含めて無料
    展覧会詳細 三井家が伝えた名品・優品 詳細情報

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